講義のページ/量子力学/水素原子
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水素原子
水素原子(定常)
†
↑
波動関数の変数分離
†
固有関数と観測値
ボルンの規則によって、観測される物理量は「固有値」になる。変数分離と固有値・固有関数が、単に数学的なテクニックではなく、本質的な意味を持つように思われる。ここでは、水素(様)原子について考える。
変数分離─時間について─
波動関数
について、変数分離を仮定する。すなわち、
とする。すると、シュレディンガー方程式
は、次のようになる。
両辺を
で割る。
左辺は
だけの関数である。右辺は空間座標だけの関数である。これらが等しいので、それは定数でなければならない。これを分離定数という。分離定数を
とするが、これは、エネルギー固有値である。その結果、次の2式を得る。ただし、球座標のラプラシアンを用い、ポテンシャルは陽子数Zの原子核の周りの電子を想定した。
(式1)
(式2)
(式1) は、簡単な微分方程式で、
を得る(Aは任意定数)。シュレディンガー方程式の時間依存性について、はじめからこの解を仮定することが多い。丁寧に考えると、このように、分離定数を含む微分方程式を解くことによって解がえられる。それは水素原子に限らない。
変数分離─空間座標について─
波動関数を
と変数分離を仮定する。
と球面調和関数
上に書いた
を(式2) に代入する。
は球面調和関数と呼ばれる(後述)。
両辺を
で割り、
をかける。
=
この式の左辺は
だけの関数であり、右辺は
だけの関数である。これらが等しいので定数でなければならない。その定数を
とする。これを書き下して整理する。
(式3)
(式4)
球面調和関数
(式4) に着目し
と変数分離できることを仮定する。(式4)は次のようになる。
をかけて、全体を
で割る。
例によって、左辺は
だけの関数であり、右辺は
だけの関数なので分離定数
を用いて次のような関係式が得られる。
(式5)
(式6)
ここで
が現れたが、電子の質量も同じ文字を当てている。混同しないと思われるので、そのままにしてある。
分離定数の決定
分離定数
が現れた。それらは相互に関係している。
の決定
これらのうち、
は単独で決められる。 (式6) から、
として、
となる。
が整数でないと、
が
(1周)を越えてしたときに、同じ値にならない。
・ この
を
磁気量子数
という。
の決定
(式5) で
とする。
であるので
となる。(式5) を
で割ると次のようになる。
あるいは、
となる。これは、ストゥルム・リウビル型の微分方程式であり、固有値・固有関数がある。
が決定されると
が決まる。数学の結果を使うと、次のことがわかる。
・ この
を
方位量子数
という。
・
である。あるいは、
を固定して考えるとき、
である。
・
が与えられたときの
は、
のときはルジャンドル多項式
、
のときはルジャンドル陪関数
で書ける。
の決定
が決まると、(式2) から
を含む微分方程式が得られる。これもストゥルム・リウビル型の微分方程式であり、固有値・固有関数がある。数学の結果を使うと、次のことがわかる。
・ エネルギー固有値は、
を満足する自然数として、
に比例した量になる。
・ この
を
主量子数
という。
・ 固有関数はラゲール(陪)多項式で書ける。
↑
固有値・固有関数の数値計算
†
基本的な考え方
2階の微分方程式を差分化して、適当な境界条件を与えることで問題を定式化できる。それは、行列の固有値・固有ベクトル問題と同じになる。
詳細は
Google Colaboratoryのページ
を参照のこと
以下の結果の固有値・固有関数の対応関係:固有関数の色が濃い順番に固有値を示している。
について
を差分化して固有値と固有ベクトルを求めた。
固有値
はじめの5つは、 -5.684342e-13 -1.019962e+00 -1.019962e+00 -4.075739e+00 -4.075739e+00 と表示された。おおよそ、0, -1, -1, -4, -4 となる。
固有関数(固有ベクトル)
値が一定の固有ベクトルは、固有値ゼロに対応し、図中に周期1で現れている2つの関数は
、周期2で現れている2つの関数は
に対応している。
について
m=0 のとき
固有値
結果は、-1.148186e-12 -2.003484e+00 -6.024642e+00 -1.209547e+01 -2.026716e+01となった。おおよそ、0, -2, -6, -12, -20 = 0, -1×2, -2×3, -3×4, -4×5 である。
固有関数(固有ベクトル)
m
0 のとき(例としてm=1)
固有値
結果は、 -2.015135 -6.072417 -12.191490 -20.383626 -30.651863となった。おおよそ、-2, -6, -12, -20, -30 = -1×2, -2×3, -3×4, -4×5, -5×6 である。
固有関数(固有ベクトル)
について
の場合
固有値
結果は、 0.9992836 0.2499552 0.1111023 となった。おおよそ、1/1, 1/4, 1/9 である。
固有関数(固有ベクトル)
の場合
固有値
結果は、0.25001495 0.11111800 0.06250354 となった。おおよそ、1/4, 1/9, 1/16 である。
固有関数(固有ベクトル)
↑
球面調和関数
†
球面調和関数とは
(式4) から
となる関数である。左辺のような演算子をかけると、再び同じ関数の定数(
)倍となるような関数である。
固有関数についての結果から
を指定する必要があることがわかる。これを指定して
と書く。
の球面調和関数は、東西方向には変化せず、南北方向だけで変化する。
の球面調和関数は、東西方向に変化する。
球面調和関数
の表示
※ 下の画像をクリックすると、インタラクティブにマウスで操作できるページに移行する。拡大縮小・回転ができる。
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添付ファイル:
EigenVector_R_l0.png
102件
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詳細
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EigenVector_R_l1.png
108件
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詳細
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EigenVector_Theta_m1.png
102件
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詳細
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EigenVector_Theta_m0.png
108件
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EigenVector_Phi.png
100件
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詳細
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Last-modified: 2022-01-03 (月) 05:45:37
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