#topicpath * 領域気象モデル [#t92faff1] ** WRF [#f8e57fc0] *** WRFについての情報 [#g61fc9ab] -- WRFとは The &color(red){W};eather &color(red){R};esearch & &color(red){F};orecasting Model のこと。~ 現在も開発が進む領域気象モデル。~ ホームページ : http://www.wrf-model.org/index.php ~ (更新 : 2013-03-25 (月) 13:56:23 )~ ~ *** WRF 導入準備 [#e1642ebc] + 導入の前に ++ ハードウエア環境~ --- CPU~ AMD Phenom(tm) II X6 1065T Processor : 6コア, 2.90 GHz~ ~ --- GPGPU~ Nvidia "Geforce GTX 660" with compute capability 3.0~ ~ ※ なお、GPGPU を WRF に使うことについての[[ここ>http://www.nvidia.co.jp/object/weather_jp.html]]の記述を見ると、一見、圧倒的なパフォーマンスを示しているように見える。~ しかし、よく見ると、Micro Physics のプログラムについてであり、全体のパフォーマンスは 1.25倍であるときちんと書いてある。~ 現時点では、WRF 全体で速くなることはほとんどなさそうである。~ ~ ※ ただし、[[Smiling Life の記事>http://blog.livedoor.jp/rootan2007/archives/51411320.html]]は期待を持たせる。 ~ ++ ソフトウエア環境~ Debian GNU/Linux (squeeze) で、主な導入済みパッケージは次のとおり。~ | パッケージ名 | バージョン | 説明 |h | gfortran |4:4.4.5-1| The GNU Fortran 95 compiler| | gcc |4:4.4.5-1| The GNU C compiler| | libnetcdf-dev |1:4.1.1-5| Development kit for NetCDF| | libnetcdf6 |1:4.1.1-5| An interface for scientific data access to large binary data| | csh |20070713-2| Shell with C-like syntax, standard login shell on BSD systems| |libopenmpi-dev |1.4.2-4| high performance message passing library -- header files| |libopenmpi1.3 |1.4.2-4| high performance message passing library -- shared library| |openmpi-bin |1.4.2-4| high performance message passing library -- binaries| |openmpi-checkpoint |1.4.2-4| high performance message passing library -- checkpoint support| |openmpi-common |1.4.2-4| high performance message passing library -- common files| ~ ~ ++ コンパイラの選択~ ~ WRF を Linux 上で動作させるとき、標準でサポートされているコンパイラは、PGI, Intel, Pathscale, gfortran である。~ このうち、無料で利用できるのは Intel と gfortran であり、さらに、「何の対価もなくプログラム開発するときだけ無償」~ とする Intel のコンパイラは使えない。そこで gfortran を使うことになる。(※ ベンチマークで比較することは、いつかやってみよう。)~ ~ Open64 というコンパイラの選択肢もある。しかし、情報が極端に少ない。~ ~ なお、コンパイラを変更すると、OpenMPI も同じコンパイラでコンパイルしなおす必要があるようだ。このことからしても、~ gfortran を選ぶのはそれほど悪い選択肢ではない。~ ~ ここでは、gfortran と Open64 について、可能な範囲で試してみる。~ ~ // 現在、Fortran は過去の言語となりつつあり、高性能なコンパイラの選択肢は限られる。まして、~ // 入手価格が低廉であるか、またはゼロであるようなコンパイラは極めて限られてくる。~ + ソースプログラムの取得 ++ ユーザー登録~ WRF は無償で手に入れることができる。しかし、ユーザー登録は必要である。~ http://www.mmm.ucar.edu/wrf/users/download/get_source.html にアクセスしてユーザー登録をする。~ 二度目からは、Returning User をクリックすれば、メールアドレスを入力するだけでダウンロードページへつながる。~ (更新 : 2013-03-25 (月) 14:11:54)~ ~ ++ プログラムの種類~ WRF を利用するために、ソースプログラムをダウンロードしようとすると、いくつかの種類のファイルに分かれている~ ことに気づいて戸惑う。これらのソースプログラムはそれぞれ役割がある。(更新 : 2013-03-25 (月) 14:41:27)~ --- ARW : Advanced Research WRF~ 力学計算や放射計算などが組み込まれたソースプログラム。WRF の中核的なプログラム。~ ~ --- WPS : WRF Preprocessor System~ 現実のデータを ARW に与えるための前処理プログラム。 理想的な地形、簡単な初期条件を用いて計算する場合には不必要である。~ ~ --- WRF-DA : WRF Data Assimilation~ データ同化システムのようである。詳しくはわからない。~ ~ --- WRF-Chem : ~ 大気中の化学物質の輸送を計算するプログラムのようである。詳しくはわからないが、現在は ARW に組み込んで使うようだ。~ ~ --- Post-Processing Software : ~ WRF から出力されたものを図にするためのソフトウエア~ ~ --- Utilities : ~ その他の補助的なソフトウエア~ ~ ++ ダウンロード~ --- 本体~ ソフトウエアの種類は上述のとおりなので、とりあえず必要なのは、ARW と Post-Processing Software である。~ とりあえずコンパイルできること、実行できることを確かめるためには、ARW だけでよい。~ http://www.mmm.ucar.edu/wrf/users/download/get_sources.html#V341 から ARW をダウンロードする。~ 現時点で、Ver 3.4.1 が最新である。30MB 弱の大きさである。~ (更新 : 2013-03-25 (月) 14:41:27)~ ~ --- 更新ファイル~ いくつかの必要な更新ファイルが出ている(cf. [[Known Problems>http://www.mmm.ucar.edu/wrf/users/wrfv3.4/known-prob-3.4.1.html]])。~ 対策のとられた日付けが、Ver 3.4.1 のリリースの日(2012年8月16日)よりも前であっても安心してはいけない。~ それほど親切ではないので、確認しながら自分で対策をとる。具体的にはファイルをダウンロードして入れ換える。~ 今回の場合( module_mp_radar.F と input_wrf.F )は、全体にあまり影響を与えないように思われるが、気持ちよくするために入れ換える。~ ~ また、WRF では実行する度にソースツリーが変更される。そこで、入れ換えた状態のソースツリーを別途保存しておく。~ (更新 : 2013-03-25 (月) 14:58:36)~ ~ ~ *** WRF 試しの実行まで( gfortran serial で ) [#g20817e2] ++ configure~ コンパイラとして gfortran を選ぶ。また、CPU は一つのコアだけを用いるとして、serial を選択する。~ 実際の入力と出力結果は次の通り。&color(red){->};は入力に関係した行であることを意味する。~ -> [localhost] ~/WRFV3 15:34:15 $ ./configure checking for perl5... no checking for perl... found /usr/bin/perl (perl) ** WARNING: No path to NETCDF and environment variable NETCDF not set. ** would you like me to try to fix? [y] -> y Enter full path to NetCDF include directory on your system -> /usr/include Enter full path to NetCDF library directory on your system -> /usr/lib ...(中略) ------------------------------------------------------------------------ Please select from among the following supported platforms. 1. Linux x86_64, PGI compiler with gcc (serial) ...(中略) 23. x86_64 Linux, gfortran compiler with gcc (serial) ...(中略) -> Enter selection [1-34] : 23 ------------------------------------------------------------------------ -> Compile for nesting? (0=no nesting, 1=basic, 2=preset moves, 3=vortex following) [default 0]: 0 Configuration successful. To build the model type compile . ...(以下省略) (更新 : 2013-03-25 (月) 15:48:29)~ ~ ++ compile~ 具体的に実行可能プログラムを作るには、compile コマンドを実行する。 -> ./compile すると、こんな理想化条件が実行できます、というメッセージが出てくるので、2次元の海陸風モデルを選んで実行する。 -> ./compile em_seabreeze2d_x 結構な時間をかけてコンパイルすることになる。一番最後に、コンパイルの所要時間が表示された。 build started: 2013年 3月 25日 月曜日 15:46:02 JST build completed: 2013年 3月 25日 月曜日 15:57:42 JST ~ なお、選べるサンプルプログラムは次の通り。~ | 次元 | ケースの名称 | 設定 |h | 1 | em_scm_xy | single column model, 4 km, full physics | | | | | | 2 | em_grav2d_x | gravity current, 100 m | | 2 | em_hill2d_x | flow over a hill, 2 km | | 2 | em_seabreeze2d_x | water and land, 2 km, 20km top, full physics | | 2 | em_squall2d_x | squall line, 250 m | | 2 | em_squall2d_y | transpose of above problemINITIALIZATION | | | | | | 3 | em_b_wave | baroclinic wave, 100 km | | 3 | em_fire | surface fire, 50 m | | 3 | em_heldsuarez | global case with polar filtering, 625 km | | 3 | em_les | large eddy simulation, 100 m | | 3 | em_quarter_ss | super cell, 2 km | | 3 | em_tropical_cyclone | hurricane, 15 km | ~ ~ ++ 実行 -> cd test/em_seabreeze2d_x -> csh ./run_me_first.csh -> ./ideal.exe -> time ./wrf.exe 最後に d01 2007-06-01_17:00:00 wrf: SUCCESS COMPLETE WRF と表示されて実行も終了。time で測った所要時間は次のとおり。 real 4m59.360s user 4m50.266s (更新 : 2013-03-25 (月) 16:15:02)~ ~ *** WRF 試しの実行まで( gfortran dmpar で ) [#g20817e2] ++ configure~ コンパイラとして gfortran を選ぶ。また、CPU の複数コアを用いる MPI を利用するとして、dampr を選択する。~ 実際の入力と出力結果(ほとんど省略)~ -> [localhost] ~/WRFV3 15:34:15 $ ./configure ...(中略) ------------------------------------------------------------------------ Please select from among the following supported platforms. 1. Linux x86_64, PGI compiler with gcc (serial) ...(中略) 25. x86_64 Linux, gfortran compiler with gcc (dmpar) ...(中略) -> Enter selection [1-34] : 25 ------------------------------------------------------------------------ ...(以下省略) ~ ++ compile~ 2次元の海陸風モデルは、MPIに対応していない。そこで、3次元の傾圧不安定波を選んで実行する。 -> ./compile em_b_wave 結構な時間をかけてコンパイルすることになる。一番最後に、コンパイルの所要時間が表示された。 build started: 2013年 3月 25日 月曜日 17:19:28 JST build completed: 2013年 3月 25日 月曜日 17:31:53 JST ~ ++ 実行 -> cd test/em_b_wave -> csh ./run_me_first.csh -> mpirun -n 5 ./ideal.exe -> time mpirun -n 5 ./wrf.exe ログは表示されない。mpirun を使って実行するところがミソ。この場合、5個のコアを使っている。time で測った所要時間は次のとおり。 real 3m21.428s user 16m32.850s sys 0m2.952s 同じプログラムを serial で実行すると、dmpar では2〜3倍の速さで動いていることがわかる。 real 9m19.641s user 9m2.306s sys 0m14.033s (更新 : 2013-03-25 (月) 18:37:30)~ ~