実験の結果がどうであったか、その成果を活用するか、とは切り離して議論 すべきです。そして、二度とこのようなことがあってはならないように、ど んな酷いことが行われたのか、知っておく必要があるのではないでしょうか。 ヴェーバーのところでお話したとおり、人間を使った実験は、個人の人権を 踏みにじる行為であって、これを実行することは倫理的に認められません。 「人の権利を守る」は、意見の相違があったとしても、全員で共有したい基 本的な価値観です。cf. 世界人権宣言(国連日本語版): https://www.ohchr.org/EN/UDHR/Pages/Language.aspx?LangID=jpn
甲南大学の田野先生はファシズムの体験教育をしています。個人的にはどう かと思いますが、記述を見ると、丁寧に配慮しながらやっているとのことで す。日本でも、同じような実験をしている人がいます。次の記事を参照して ください(必要ならば図書館の検索で全文を読めます)。朝日新聞の記事: https://www.asahi.com/articles/ASL884J6RL88UTIL01B.html
甲南大学の田野先生も、The WAVE を見たので、上記のような授業をしよう と思ったようです。
監獄実験と選択を結びつけて考えてくれました!
フィードバックと関連付けて、同じ正のフィードバックでも、好循環で行え ば良いのではないか、という発想です。 それにしても、もちろん本人の了解は必要ですし、いつでも止められる選択 肢は必要ではないでしょうか。
授業でお話したように、同調だけではなく、他の人の行為を見て「あれが許 されるなら、自分がやることも」というアンカリングも作用したと考えられ ます。
いい指摘ですね!科学者も人の子ですし、科学のABCの方法を身につけると それを実行したくなるようです。
屠殺の件について、その現場をよく知っている学生のみなさんは、知らなけ ればならない事実である、ということをよく認識しているようです。 私たちは、多くのことを学ぶようになって、その結果、変化が起こってきて いるはずです。他の人のことを、体験しなくても共感できるようになってき ているのではないでしょうか。そうだとしたら、現場を体験しなくても理解 する、ということができてもいいように思いますが、どうでしょうか。
良いコメントですね!より良い方向に自分を動かしていくときに、困難の中 を切り進んで行くのではなく、正のフィードバックがかかるような軌道に乗っ ていけば高みに到達できる、というのはいい発想です!
よく考えてみるまでもなく、「大学」を構成しているのは、少数の教員だけ ではなく、圧倒的多数の学生ですよね。学生のみなさんには、大学を良くす る能力があるはず。
負のフィードバックでものごと安定的に運用できますが、正のフィードバッ クの場合は、いつか、壊滅的な現象が起こります。それをコントロールする ためにはどうすればいいのか。現代的な課題です。柔軟で自由な発想力は、 とても大切であると言えそうですね!
授業でもお話したように、投資話をもちかける詐欺が多いですから気をつけ ましょう!
原発事故の汚染の問題は、学生の皆さんにはあまり責任がないことで、私た ち年配者の責任です。しかし、残念ながら、学生の皆さんも、死ぬまでつき 合わなければならない問題となってしまいました。どうしたらいいのか。同 じ日本に住む者、日本で電気を使うものとして、一緒に考えていってほしい と思います。
残念ながら、「犠牲のシステム」は、原発に限りません。みなさんは、水俣 病を知っているでしょうか。原子爆弾の被爆者、最近では、公文書を改ざん させられた赤木さんなど、少数者を切り捨てるようなことをし続けています。 これからの社会をみなさんが作っていくとき、これらの過去を知らないで、 良い社会が作れるでしょうか。 しかし、私は楽観的です。このコメントにあるように、関心を持ち続ける若 い人はいますし、また、過去を学ぶことの重要性をお話すると、みなさん、 それを素直に理解してくれるからです!
次回のテーマに続きます。止められない科学の発展は、どうして止められな いのか。また、私たちが、それにどう向き合っていくのか。 環境を守りながら地域を発展させる方法は、あるはずだし、科学技術の暴走 を食い止めながら命を救うための科学を発展させる方法もあるはずです。な ぜなら、もし、それらが無かったとしたら、私たちは滅びるしか無いからで す。(逆説的な論理です。)
ときどき、学ぶことは人を傷つける能力を手に入れることでもある、と指摘 すると「じゃあ、怖いから勉強やめます」という人もいます。しかし、そう なると、傷つけられた人に気づけません。そして救えません。同調に加担す る側になってしまいます。 みなさんが書いてくれたように、学びながら気をつけること、これを大切に したいものです。
次回のテーマと重なるコメントです。現実はもっと進んでいます。遺伝子組 み換え、ゲノム編集は、容易に行えるようになってきました。さらに、人類 は、人工的なDNAを注入し、自動的に増殖する物体(=生き物??)の合成に 成功しました。私たちは、直感的にそれが危険なものであることがわかると 思います。たとえば、増殖が止められなくなったら、栗まんじゅうです。 しかし、科学者たちは、なぜ、それをしてしまうのでしょうか。その1つの 理由は、私たちが生まれながらの科学者だからです。本能的に科学のABC を 実行したいという欲求に打ち勝てないからです。私たちは、科学者の欲求を 前提に、どんな研究がやってはならないか、見極めて声を上げていくしかな いと思っています。学生さんが教えてくれたサイト: https://www.cnn.co.jp/fringe/35180169-2.html
「私たち日本人の祖先がそんな酷いことをしていたと考えたくない」から 「していなかったはずだ」になってしまったりします。それも人間の一般的 な傾向であると言えるのではないでしょうか。南京虐殺、関東大震災朝鮮人 虐殺事件、従軍慰安婦などは、その例です。 前もお話したように、イギリスではイラク戦争への参戦が正しかったのか、 当時のブレア首相の判断について、後日、政権とは独立した委員会が調査し、 不当であったと結論付けられました。日本で、そのような検討が、一切、行 われていないのが残念です。